朝里川温泉「小樽旅亭蔵群」

【源泉名】ASR94,ASR02混合
【泉質】カルシウム・ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉
【PH】
【源泉温度】
【成分総計】
【湧出量】
【入浴料】

北海道でデザイナーズ高級温泉旅館は流行らない、という定説をくつがえした旅館・
蔵群。昨今では女性が行きたい宿なんていう雑誌の特集の常連になったこの宿に宿泊。
小樽築港駅から送迎バスで15分ほどで朝里川温泉に到着。秘湯という感じも歓楽街と
いった感じもないちょっと中途半端な町並みの中に蔵群はあった。しかも目の前には
ラブホテルというロケーションがちょっと意外だけど、そんなこと言ってもしょうがないか。
鉄筋カゴの中に石を詰め込んだ塀と切妻屋根の載った黒壁の建物という何度も雑誌で
見たストイックな外観だが、グラビアと違うのはそのうえに真っ白な雪が70センチほど
降り積もっていたこと。ホントにすごい雪です。
幅が狭くて暗いアプローチを抜けると、まずカフェに通される。そこで宿帳を記帳し、
抹茶とお菓子をいただいた後、部屋へと案内された。


外観             エントランス


カフェ            抹茶

この宿の部屋にはすべて北海道にゆかりのある文学者の名前がつけられており、
今回の部屋「多喜二」は、プロレタリア文学の金字塔「蟹工船」で知られる小林多喜二から
とったもの。「多喜二」は木がふんだんに使われたメゾネットタイプの部屋で、
ざっくりとした木の床と繊細な古民具の調度品のバランスが巧み。
1階は座卓のある居間のような空間と書斎のような空間が占め、高さを抑えた障子を
開ければ雪景色が広がる。2階には寝室、トイレ、そして温泉の出る部屋付の浴室。
部屋の湯は循環なしの源泉とのことで、少し加熱しているようだが、無色透明無味無臭、
ほんの少しつるり感もある気持ちのいい湯。
ただ浴室から脱衣室に湯が入ってきてしまうので、水切りのディテールが甘かったかなあ
という感じ。あと風呂の湯を抜いた後、階下でゴーッと排水の音がするけど、
まあ自分たちで抜いた湯なんだからしょうがないか。


客室「多喜二」


1階書斎           2階寝室


2階浴室

館内のいたるところにあるパブリックスペースもとてもセンス良くまとめられている。
雪景色をみながらくつろげるロビーにはフランスの建築家・コルビュジエがデザインした
ソファ。壁一面の書棚に文学書からマンガや絵本、雑誌、レコードまでたくさんのものが
並べられたライブラリー「坤滴湖」。アンティークなレコードプレイヤーもあり、
好きなものをかけて聴くことができ、それとは別にもう少しこもれる感じの談話室
「無庵」も落ち着いた雰囲気。茶室「不溜庵」も美しくデザインされた空間。どこも
さすがにかっこよくデザインされている。廊下すら美しいです。


ロビー            談話室


ライブラリー


通路             茶室

さらにカウンターに並ぶ酒瓶も美しいバー「クラルテ」。この宿を特徴付けているは
オールインクルーシブシステム。館内のカフェ、バーや部屋の冷蔵庫、そして食事時に
注文する飲み物がすべて宿泊料金に含まれており、つまり宿泊中にどれだけドリンクを
飲んでも追加料金をとられることはない。印象としてはどれだけ飲んでもタダ、という感覚。
このバーにもウイスキー、ビール、カクテル、ワイン、日本酒、焼酎、ソフトドリンクと
幅広くラインナップされている。


バー

部屋の浴室のほかにももちろん男女別の湯屋があり、こちらの湯は残念ながら循環。
内風呂、露天風呂とも石の湯船に無色透明なさらりとした湯。もうもうと立ち込める
湯気の中、露天風呂から眺められる雪景色、そして聞こえてくる朝里川の川音。
のんびりした湯浴みが味わえる。
湯あがりロビーには男女ともに8種類づつ、計16種類の香水が用意されていて
自由に付けることができる。僕は香水って感じじゃないので付けませんでしたが・・・。


浴室             露天風呂


湯上がりロビー        フレグランス

食事は部屋ごとに個室になった食事処で。
先付は小樽産ヒラメと燕の巣の昆布〆。ヒラメは柔らかくてもっちりした舌触り。
前菜はカキのグラタン、苦瓜射込み帆立月環、五目のし鶏、黒豆、金柑。
カキグラタンがとってもクリーミー。刺身は本マグロの中トロ、黒ソイ、活北寄貝。
中トロはどう見ても大トロです。とろけるとろける。


先付と前菜          刺身

蒸物はウニの蓮根すり流し。底に敷いてある天然海苔もいい味出してる。
焼物は雄武産のタラバガニとネギ、椎茸、アスパラの陶板焼。半生状態に焼けた
ところでボリビア産アンデスの岩塩をおろし金で擦ったものをかけて食す。
20センチはあるタラバガニ。旨味たっぷり、こんなにジューシーなタラバはじめて!


蒸物             焼物

お凌ぎは北海道ならではの魚、積丹産の八角。軽くソテーしてキャビアを添えてある。
ほろりとしてうまく、一緒に出てくるカブのスープも良い。進肴は赤井川産の
黒豚と根野菜のタイ風煮込み。そんなに辛くなくて、脂の乗った豚の旨味が楽しめる。


お凌ぎ            進肴

口変わりのトマト、野菜の生春巻きでさっぱりしたところで、箸休めはニシンとサツマイモ。
ニシンは生ハムのような味わい。多分薫製にしてあるんじゃないかと思う。


口変り            箸休め

強肴は羅臼産吉次一夜干しに長茄子のグリルに、吉次のアラで出汁を取った味噌汁。
吉次とはキンキのこと。パリッとした赤い皮の裏にへばりついている脂がたまらなく
うまい!鉢盛りはかすべ、レッドムーン揚げ出し。御飯は仁木町銀山の池田悟さんの
無農薬有機栽培「きらら397」!アサリの柚風味の椀も上品な味わい。


強肴             鉢盛り、御飯、止椀、香物

デザートは百合根のアイス。なんか甘さ控えめなサツマイモみたいな感じ。
全品、とてもおいしかったです。マグロの造り、タラバガニ、吉次一夜干しが
ベスト3かな。いやーよかった。ちなみにもちろんこの食事中に飲んだ、ビール、
ワインの追加料金はとられません。いいですねえ、オールインクルーシブシステム。


水菓子

朝食は夕食とはちがう個室でいただく。新鮮な北海道の牛乳で始まり、サバみりん、
帆立刺身、チーズ風味の茶碗蒸しなどとてもおいしかった。


朝食会場           朝食

空間デザインの質、料理、接客、どれも満点といっていい満足度。風呂の湯が
循環なんてことは全然問題にならないほどすばらしい宿。機会があればぜひ
もう一度泊まってみたいです。
(05/01/13)



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