男の旅は一人旅 岩手秋田編 2

秋田県に入り、駅弁でも買おうと田沢湖駅に立ち寄った。田沢湖駅は建築家・坂茂の設計。
秋田新幹線の停車駅だというのに思いのほか小さい駅だ。中に入ると吹抜部分は
窮屈であまり空間的に効いてない気がするが、構造フレームがきれいにデザインされている。
駅弁を探すと、しえー!信じられないことに一つも売ってない。
とんだ無駄足だった。ここから一気に北上、めざすのは玉川温泉である。

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田沢湖駅外観         内観

玉川温泉に到着すると、駐車場は満車、周辺の路肩にも駐車しまくってあり、
いったん来た道を戻って適当なところで路肩に車を止め、そこから歩いた。
大人気とは聞いていたがこれほどの混雑振りとは。
歩くにつれ、山肌からものすごい噴煙があがっているのが見えてきた。
そこらじゅうから蒸気が吹き出し、硫黄が黄色い結晶となっている。
駐車場からたくさんの人がゴザを抱えて歩いている。この玉川温泉は、地熱で温まった
地面にゴザを敷いて寝転ぶ岩盤浴で有名だ。岩盤から放出されるラジウムにも
医学的な効果があるらしい。小雨が降っていたが、そこらじゅうに人々が
寝転び、まるで野戦病院のようだ。と、大勢が寝転んでいるまん中にものすごい噴気が
あがっているところがあり、麻袋を敷いてなにかやってる人がいる。
聞いてみるとニンニクを蒸しているとのこと。おひとつどうぞとゴロンと
大きなニンニクを手渡されたが、こんなにいりませんと半分だけもらって
食べてみるとホクホクというよりトロンとペースト状。噛まなくても食べられる。
ツンとする臭みもなく甘味さえ感じられてうまい!思わずおばちゃんに、
「やっぱり残り半分もください。」


噴煙たちのぼる地獄の風景   蒸気で野菜を蒸す人も

うろうろしていると湯が湧きだしているところを発見。玉川温泉の湧出量は
毎分約9000リットル。一分間にドラム缶45本分が湧き出していることになる。もちろん
日本一の湧出量だ。ものすごい音を立てて湯が湧きあがり、湯煙がもうもうと立ちのぼって、
硫黄の臭いが立ち込める。さらに奥へと進むとポツンと露天風呂があらわれた。
草木も生えない地獄地帯の真っ只中に木で縁取られた小さな湯船がひとつ。
遮るものは何もない開放的な露天風呂だ。かなりオープンなシチュエーションだが、
他人の目などまったく気にならない。服を脱ぎ捨てるとさっそくつかる。
湯の色は黄色がかったワームグレー。泥水のようにとろんと密度がある感じ。
温度は思ったより熱くない。細かく白い湯の花が大量に舞っており、湯は弱い硫黄臭、
なめると薄い硫黄味がした。あたりから立ち上る噴気を見ながら、立ち込める硫黄臭を
かぎながら荒涼とした地獄のなかで入る露天風呂は開放感満点だ。


壮絶な湯量の大噴       岩盤浴用のテント


開放的な露天風呂       画面上部におっさんの指が!

露天風呂から玉川温泉の大浴場へ。玉川温泉は湧出量も日本一なら、
酸性度も日本一。そのPH値は1.2。強烈な酸性泉と岩盤浴による湯治はガンにも特効があり、
治らない病気はないといわれる奇跡の温泉。医者に見離された病人たちが
ワラにもすがる思いで全国からやってくるため、365日満室状態である。
大浴場は木造の大きなものでたくさんの浴槽があり、「源泉100%」のものと
酸がきつすぎて皮膚の弱い人は入れないため半分水で薄めた「50%」のものがある。
まずはもちろん源泉100%の浴槽へ。たっぷりと満たされた無色透明の
酸性-含二酸化炭素・アルミニウム・鉄-塩化物泉は多少緑がかって見え、
温度は思ったより熱くなく、赤茶色のペラペラの湯の花が漂っている。
臭いも酸っぱい硫黄臭、なめてみると強烈な酸っぱさだ。
レモン10個分の果汁を濃縮ウメボシとブレンドした感じ。歯が溶けそうだ。
皮膚の感じは思ったほどでもないな、と思ってしばらくしたら、「のわー!」
きたきたきた!体中がピリピリチクチク。酸が皮膚に突き刺さってくる。
やはりこれまで経験してきたPH1.3クラスのものよりはるかに強烈な酸性泉だ。
50%浴槽にもつかってみたが、これでも十分ピリピリ感があり、酸っぱい。
飲泉所もあり、源泉蛇口をひねってコップで飲もうとすると、
「源泉を5倍に薄めて飲んでください。」の注意書き。しえー!そのまま飲むとこやった!
風呂からあがると、ケツがピリピリ痛い。国見温泉の百枚皿床に座っていたためだろう。
強烈にしみて痛い。こんな強い酸につかれば雑菌もイチコロだ。
傷や皮膚病に対する特効もうなづける。あらゆる病を治すという日本一の強酸性泉に
温泉の底力を見せつけられた思いがした。

玉川温泉から北上を続け、田沢湖町から鹿角市へ入る。しばらく行くと
「含ゲルマニウム泉」という看板に引かれ、東トロコ温泉へ立ち寄った。
駐車場に車を止め、車中で玉川温泉の売店で買ったおにぎりを食べて出撃。
料金を払い、階段を下りて浴室へ。内湯もあったが、露天風呂へ直行する。
岩の露天風呂に無色透明の単純温泉、わずかながら硫黄の臭いがする。
温度は適温、木々の緑を見ながらのんびりとつかることができた。
東トロコから南へ引き返してもう一湯、銭川温泉へ。国道から幅員車一台分という
きびしいアプローチで谷あいへ下りると一軒宿が。宿に入った瞬間から
全館床暖房状態。風呂はタイルの小さな浴室、無色透明、ほぼ無味無臭。
それほど個性は感じられないがとにかく熱い!ビシッと体が引き締まった。


東トロコ温泉内湯       露天風呂

再び国道へ出て玉川方面へ南下。途中左折して八幡平アスピーテラインに入る。
周囲はまだ新緑といった感じの黄緑色の木々。そんな風景のなかで時折
草木も生えない岩山が現れてはものすごい噴煙を上げている。
岩手県の県境近くまで走り、ふけの湯温泉で立ち寄り入浴することにした。
日本秘湯を守る会会員旅館。大きな切妻のエントランスが印象的だ。まずは宿内の風呂へ。
浴室までの途中、度肝を抜くものが現れる。ふけの湯神社というコーナーが設けられ、
男性器を神格化した「金勢さま」が、子宝のシンボルとして祭られている。
木を削ってけっこうリアルにつくられた金勢さまはチンポそのもの、木の割れ目が
妙に痛々しい。それが3本まさに屹立している様子に日本各地に残る男根崇拝の
一端を垣間見ることができる。


ふけの湯外観         金勢さま

浴室は木造のしぶいもので、木の湯船にはたっぷりと
黄色がかった白濁湯が掛け流し。弱い硫黄臭、薄い酸味と苦味。ちょっと薄い印象、
加水しているのだろう。露天風呂はぬるめの温度設定でのんびりとつかることができた。
ここの内湯は丸太をくりぬいた洗い場が新鮮だった。こういうデザインを現代建築の
入浴施設でもできないもんだろうか。


内湯             丸太を利用した洗い場

宿から少し歩くと噴煙立ち昇る地獄地帯となっており、その只中に露天風呂が
設けてある。周囲には硫黄の臭いが立ちこめ、湯の臭いなんだかどうなんだかよくわからん!
木の浴槽に木の樋からかけ流される湯は透明、それが湯船の中で時間経過と共にワームグレーの
濁り湯へと変わっていく。ここでもちょっと湯が薄いなあと思った。こんな地獄地帯の中で
入る湯は、釜茹でにされるような激熱湯がいいんだけど・・・。


噴煙の中にある露天風呂    露天風呂

再び車を走らせ、一気に岩手県松尾村に突入。ものすごいガスでまわりは白一色という
世界の中、藤七温泉彩雲荘で立ち寄り湯。ここも日本秘湯の会会員旅館。だが、そうとは
思わせないほどあまりにそっけないエントランス。宿は全体的に山小屋風で、屋根が赤色で
統一されている。入浴料を払って浴舎へ。黒ずんだ木がしぶい鄙びた浴室で、湯船には
白濁の硫黄泉が掛け流し。思ったより熱くない。露天風呂に出てみると、
目の前には地獄地帯。木でできた浴槽に勢いよく掛け流しの白濁湯につかると
弱い硫黄臭が漂ってきて、なめてみると薄い苦味と酸味。吹き抜けていく高原の風が涼しい。

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露天風呂           ご満悦

適温の湯にのんびりとつかっていると、地獄地帯の真っ只中に
湯船があるのを発見。そこまで歩いていくと、岩肌を掘っただけといった感じの穴に
泥水のようなワームグレーの湯が満たされており、しかもポコポコとものすごい勢いで
気泡があがっとる!底から湯が湧き出しているようだ。足を踏み入れようとすると、
「そこは熱くて危ない」と先客が教えてくれた。湯船のそこはスノコになっており、
まちがって湧出部分に足を乗せるとめちゃめちゃ熱い。みんな湯船に桶や腰掛を
沈めてその上に座っているようだが、俺はスノコ直座りにこだわって、熱いのに
やせ我慢して入った。こうしていると湧いたばかりの湯が直接体に当たって
いい感じだ!硫黄臭も内湯に比べて強く、ロケーションもいかにも野性的で良い。
だが、ちょっと湯船の中で位置を移動すると「おぁちちちち!」火傷には要注意だ。
やっといかにも火山地帯!といった感じの熱湯に出会えた。
水なんか入れるなよ、といった感じの頑固オヤジみたいな湯だ。

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野性的な露天風呂       ご満悦

このまま松川温泉まで行きたいところだったが時間もなくなってきたので
再び秋田に引き返し、ふけの湯から道を挟んで反対側にあたる大深温泉へ。
丸太で組まれた素朴な建物で入浴料を払い、別棟の湯小屋へ。木造で屋根には
湯気抜きが付いている。正方形の湯船に木の樋から源泉が、パイプからは
水が注がれており、湯船の湯はうっすらと青白く濁った半透明。
源泉は非常に熱く、ワンカップの空き瓶みたいなのがおいてあったので
飲泉してみると、弱い硫黄臭で土っぽい薄い酸味が感じられる。
水で埋めているのにものすごく熱い湯で、じーっとしていないと熱くて
つかっていられない。体もかなり温まった。
湯からあがってうろうろしていると、おっさんがうまい湧き水があると
教えてくれた。ヒシャクで飲むとこれがうまい!ほかにも温泉卵をつくる
コーナーもあり、水や蒸気といった自然の恵みと非常にうまく共存していた。
ほてった体を湧き水で潤したところで今日の宿・後生掛温泉へと向かった。


大深温泉外観         浴舎

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