男の旅は一人旅 那須塩原編 2
那須湯本からバスに乗り、9時30分頃に大丸温泉バス停で下車。ここから歩いて北温泉をめざす。
大きく蛇行する下り道。これが帰り道では登りになることを考えると泣きたくなったが泣いてばかりもいられない。
途中で旭温泉旅館というぼろぼろの廃屋を通過し、30分歩いて北温泉旅館に到着。
ダムの大滝をバックに黒ずんだ木造の鄙び宿がたたずむ。これぞ秘湯の一軒宿といった感じだ。
宿へアプローチしていくとでかい温泉プールが見えた。味のある渋いエントランス。
帳場の無愛想なおやじに立ち寄り湯を乞うと、「そこで券買って」と指差す方向に置いてある場違いな
券売機で700円の入浴券を購入。館内は陰影礼賛といった感じで最小限の照明しかなく薄暗い。
宿の中をうろうろしていると河原の湯に着いた。最近作りましたといった感じの男女別の露天風呂。
混浴の温泉プールの他にも露天風呂つくってよ、という声が多く寄せられたのだろう。気持ちの良い湯だったが、
北温泉のお目当てはこの風呂ではない。早々に切り上げてここの名物風呂・天狗の湯へ向かう。廊下を歩いていると、
いきなり脱衣場・浴室があり意表をつかれた。廊下にも脱衣棚があり、ここで脱げってことか?!と心焦った。
この湯は混浴なのだが、脱衣場である廊下からも浴室は丸見え。ちょっと女性にはつらいだろう。
天狗の湯には文字どおり巨大な天狗の面が2つぶらさがっており、ランプが灯っている。
かなりでかい面で俺の背丈ほどあるんじゃないだろうか。ニョッキリと長い鼻が突き出ている。
壁には大量の絵馬がかかっており、天狗の湯だけあって子宝祈願のものがほとんどだ。
四角い浴槽には源泉がざぶざぶと掛け流されており、無色透明の単純温泉。薄っぺらくて赤茶色の湯の花と
葉っぱが漂っている。湯口では熱めの湯も、湯船では適温。ちょっと土っぽい温泉臭がし、
無味。歩きの疲れが癒された。しかしこの天狗の面はブキミだ。夜ならなおのことだろう。
しかしこのブキミさが秘湯感をいっそう強めているのは間違いない。歩いたかいのある味のある浴室に満足した。
ぜひゆっくり宿泊してみたいと思った。

外観 温泉プール

河原の湯 天狗の湯
北温泉旅館から、再び大丸温泉へと引き返す。この登りは相当きつかった。
特にボルケーノラインという有料道路の登りは過酷で、まっすぐ歩けなかった。へとへとになりなって
大丸温泉旅館へたどりついた。日本秘湯を守る会会員旅館でなかなかこぎれいな宿で立ち寄り入浴は1000円。
大丸温泉は川底から湧く湯がそのまま湯川となって流れるのをせき止めた露天風呂が有名だ。さっそく露天にはいる。
露天風呂は4つあり、一番上流が女性専用、下流へ向かって3つあるのが混浴となっているが、
もちろん女性は入っていない。まずは一番下流の白樺の湯。深めの岩風呂にたっぷりの湯量。
あずまやのような八角形の屋根と2本の打たせ湯がある広い湯船だ。底は川底のように石となっており、
足のつぼを刺激する。無色透明無味無臭の単純泉、足の疲れがとれる気持ちいい湯だ。
途中のあじさいの湯はとばして階段を昇って上流のあざみの湯にいってみると、さっきより温度が高め。
ここで先ほど北温泉で会った人にばったりと会い、ここまで歩いてきたと言ったらびびっていた。
汗が引かないくらい温まったところであがることにした。
湯上りに宿内のバーで生ビールを一気に飲み干す。柿ピーがサービスでついてきたのが気に入った。
ほとんど名古屋の喫茶店状態。ビールの後は宿近くの食堂でそばをすすった。まあどうってことないそばだったが、
食堂には大きなゴールデンレトリバーと首に風呂敷をまいた中型犬がいた。
本当はこれから歩いて弁天温泉を目指す予定だったが、さすがにこの山歩きは俺の戦意を喪失させ、
バスに乗って下山することにした。バスで那須塩原駅に着くと、俺の戦意喪失感はまだまだ続いており、
清水の舞台から飛び降りるつもりでレンタカーを借りた。俺も金に物言わすようになったもんだ。

白樺の湯 あざみの湯から見下げ
車に乗って今度は塩原温泉郷へ向かう。1時間程走って奥塩原の新湯(あらゆ)温泉に到着。
車の運転もそれなりに疲れた。新湯温泉にはそれぞれ別源泉を引く3つの共同湯がある。
まずは温泉地の中心にある寺の湯へ。木造の小さな湯小屋で、背後には噴気が立ち上り、
岩が硫黄で黄色くなった地獄地帯が見える。寺の湯は混浴の共同湯だが女性は一人もおらず、野郎連中で混んでいた。
板張りの浴室で2槽式浴槽に真っ白な湯。酸性-含硫黄-アルミニウム-硫酸塩泉。強い硫黄臭で湯は熱めで掛け流し。
なめると苦味と酸味そして渋みが感じられる。充満する硫黄臭がたまらない。なかなか満足できた。
次に湯荘白樺のうらにある中の湯へ。中の湯の裏には神社があり、ここが源泉という石碑があって湯が湧いている。
寺の湯よりひとまわり小さい湯小屋で男女別の木の浴室。熱めの白濁の単純酸性硫黄泉で硫黄臭苦酸味。
ただここは小さい幼児が入ってきたためまわりの大人たちが大量に加水しはじめ、温度も温め、臭いや味も
かなりマイルドなものになってしまい残念ながら早々に立ち去った。
最後にむじなの湯を探す。幹線道路から階段で降りていくと下のほうに湯気抜きの付いた勾配屋根の湯小屋が見えてきた。
むじなの湯も元々は混浴だったらしいが、最近男女別になったらしい。木の浴槽に真っ白な湯。鼻をつく硫黄臭。
温度は熱め。後から来た客は我慢できずに加水したが、59.2℃の源泉がどんどん入ってくるからすぐ熱くなる。
俺も思わず浴槽から出て座り込む。ここの湯は3つの共同湯で一番濃厚でじっと入っていると肌に染み込む感じがした。
こんな湯に日常的に入っている人たちがうらやましい。
新湯の湯を思い残すことなく堪能すると、今日の宿泊地である塩原の温泉街へと引き返した。

寺の湯 中の湯

むじなの湯
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