男の旅は一人旅 那須塩原編 3
塩原温泉郷は、大網、福渡、塩の湯、塩釜、畑下、門前、古町、中塩原、上塩原、新湯、元湯の
11の温泉地の総称である。本当は新湯か元湯あたりに泊まろうと思っていたのだがどこも満室。
それなら塩の湯温泉・明賀屋本館に泊まりたいと思ったらこれも満室。けれども明賀屋の姉妹館なら
本館の風呂が無料で利用できると聞いて決めたのがこの日の宿・ホテル明賀屋別館山水荘。
けっして安い宿泊料ではなかったが、明賀屋本館の風呂に一人で立ち寄り入浴しようとすると
3000円もとられてしまうから、姉妹館の無料利用はお徳だと踏んだわけである。
山水荘は箒川沿いに建つ塩釜温泉の宿で、外観はくたびれた場末のスナックといった感じで、
けっして泊まりたいとは思わないファサードだ。フロントではなかなかふてぶてしいおばちゃんに迎えられ、
部屋に案内される。12という味気ない室名の部屋は広い和室でバストイレが付いており窓の外には箒川。
眺めはかなりいい。さっそく本館の風呂へ行くことにした。山水荘と本館は1.5キロほど離れており、
車で移動した。本館には大浴場もあるが俺のお目当ては名物・川岸露天風呂だ。長い長い階段を下りていくと
やっと脱衣場を発見。浴衣を脱いで風呂場へ降りていくと屋根の付いた露天風呂で
矩形の小さな浴槽が2つあり、やや緑褐色濁りの湯が掛け流し。
湯に鉄分が含まれているようで床は成分で赤茶色に変色している。そしてロケーションがすばらしい。
新緑に覆われた目の前の川に手が届きそうな感じで開放感満点だ。川沿い露天風呂をうたう風呂は
けっこうあるが、川のそばの開放感を味わえるところはそう多くない。その一因は手すりにあると思う。
転落防止の安全策としての手すりは一本入るだけで開放感を阻害する。それが植え込みであれ竹垣であれ
ガラスであれ事の次第はそう変わらない。しかしこの川岸露天風呂には手すりがなく非常に気持ちのいい開放感がある。
さて景色ばかりでなく湯質も良い。やや熱めで温泉臭、金気味に塩味が加わった味。ここは混浴なのだが、
若いカップルも年老いたカップルもけっこう入っていた。自然との一体感を感じながら温まることができた。
塩原で押さえておきたい湯の一つだと思う。
宿に戻り、露天風呂に入った。もみじの湯と銘打っている。ここも川沿いだがすこし川から離れていて
もちろん手すりがある。川への展望は利かないが、川音は心地よく聞こえる。湯は含石膏食塩泉。
無色透明で温泉臭。ほとんど無味でほんのすこし塩分を感じる。続いて内湯・大石の湯へ。
男女の界壁部分に巨大な岩が鎮座している。もともとここにあった岩を動かさず浴室をつくったらしい。
タイルの浴槽でおそらくかけ流しだと思う。湯は適温で気持ちいい。くせのない湯だが、壁に小さくポツポツと
析出成分がこびりついている。おそらく石膏系の成分だろう。
今回の宿は湯はあまり期待してなかったがなかなか良い湯だと思った。
部屋に戻って夕食。標準的な旅館料理で部屋食。昨日はカップラーメンだったということもあり、
なかなか美味しくいただけた。ビールもガンガン飲んで、今日もまた知らぬ間に眠り込んでいた。

露天風呂 内湯
翌朝、5時半に起きて福渡(ふくわた)温泉の2つの露天風呂に入りに行った。
まずは箒川の横にある岩の湯。温泉街側から橋を渡ってアプローチするのだが、橋を渡る前から
対岸の露天風呂が丸見えだった。混浴だがもちろん女性はいない。300円を料金箱にいれて浴衣を脱ぐ。
湯船は2つありどうやら別源泉のようだ。円形の石組み浴槽と四角いコンクリート浴槽。まずは円形浴槽。
岩肌から小さな滝のように源泉が湯船に落下している。熱めの湯で緑褐色、土っぽい金気臭金気味。
浴槽は深く底は砂敷きになっている。朝の散歩で冷えた体がじーんと温まった。目の前は川だが、
対岸のホテル群もずらりと見えるので必ずしもいい眺望ではないが川音が気持ちいい。
つぎに四角い浴槽に入ると、ぬるめの湯。無色透明土っぽい金気臭、金気味に加えて甘味が感じられた。
底の砂地から湯が湧いているようで、ぽこぽこっと気泡があがってくる。気泡の上に座ると、
気泡がころころころころっと背中を転がるようにあがってくるのがくすぐったい。この浴槽は竹柵の目隠しがあり、
対岸からの目を気にせずのんびりつかることができる。温度もぬるめだし、この湯は大変気に入った。

対岸より 丸い湯舟
岩の湯からさらに奥へと歩いて行くと不動の湯がある。森の中の無料露天風呂だ。小さな屋根の下に脱衣棚があり、
その奥に石のひょうたん型湯船。そこへコンクリート擬木の樋からだばだばと湯がかけ流され、
あふれた湯は隣の沢へと流れていく。床は成分のため黄土色に変色している。
新緑の木々に囲まれた露天風呂でとても気持ちがいい。湯は無色透明で土臭い金気臭、弱い金気味と炭酸味。
ぬるめの温度で長湯できそうだ。炭酸を含んでいるようで、体に細かい気泡がいっぱいつく。
深い浴槽にたっぷりのかけ流しで気分がいい。ここも混浴だが水着もバスタオルも不可。
女性はさすがに入りにくいのだろう。そういう女性のために最近できたと思われる足湯が近くにあった。
木製ベンチがあり、木々に囲まれ、川を見ながら足湯できる。これならここまで歩いてきた女性が
「え、混浴なの?!」ということになっても少しは報われるだろう。

不動の湯 足湯
宿に帰って朝食も部屋食。食べ終わるとさっそくチェックアウト。塩原温泉発祥の地・元湯温泉へと出発した。
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