男の旅は一人旅 奥蓼科編 1

2002年のGW後半、5月5,6日は南信州の秘湯・奥蓼科温泉郷へ行く事にした。
長野県茅野市東部、八ヶ岳の山麓に点在する明治、渋川、渋、渋の湯の4つの温泉を総称して奥蓼科温泉郷と呼ぶ。
ここなら特急の指定席券さえ確保すれば、GWラッシュを被ることはないはずだ。
とりあえず朝6時に起き名古屋駅へ。特急しなの名古屋―塩尻間の往復指定席券を押えた。
次は宿の予約。前日、空室状況を電話確認しておいた渋の湯ホテルに電話。
1泊2食8000円でOKとのこと(2人以上だと7000円)。
以前から宿泊してゆっくり湯を堪能したいと目をつけていた宿だ。
GWの当日の朝電話して泊まれてしまう。さすが秘湯の宿だ。これで準備が整った。
7時10分発特急しなの1号で塩尻まで約2時間。塩尻駅からは中央本線の普通列車で約30分かけて茅野へ。
茅野からは諏訪バスに乗り換え。空腹に耐えかねて駅の立ち食いソバ屋で玉子ソバ320円を食べ終わると
バスの発車時刻となった。このバスが一日3便しかないから乗り過ごすと大変だ。
バスの僕以外の乗客は登山客と地元のじいちゃん。蓼科は今が春真っ盛り。
おびただしいタンポポが咲き乱れ、北アルプスを遠望する絶景の中45分、明治温泉口で下車。
降りたのは僕だけだった。

明治温泉の一軒宿・明治温泉旅館まではバス停から徒歩5分。赤い鉄板葺屋根の木造3階建てで
すぐ隣にはおしどり隠しの滝というのが流れている。明治温泉は江戸中期から続く歴史ある温泉で、
効能が確かで「明らかに治る」ことからその名が付いた炭酸鉄泉で源泉温度は25度。
鉄分を含んでいる為、湯口では無色透明な湯が空気に触れているとオレンジ色に変色してくるという温泉で、
はやく鉄さび色に染まりたい!という思いが足を速めさせた。入湯料800円を払い浴室へ。
脱衣場は珍しく畳敷きだった。浴室内にはカランのある洗い場と打たせ湯が落ちている源泉槽、
内湯、それと露天風呂がある。まず窓が大きく開放されてるだけで屋根も壁もある半露天風呂に入ってみる。
湯はオレンジ色、ややぬるめで独特の臭い。口に含んでみると鉄さびの味。
浴槽や床の石も温泉成分でオレンジ色に変色している。窓の外を見下ろすと滝が見えるのだが、
川底が赤褐色に変色してるのは温泉成分の影響だろうか。湯船からも滝の音を聞く事ができる。
内湯に移動してみる。露天は源泉を沸かしたものなのでオレンジ色だが、内湯はろ過しているため
無色透明の湯で露天より熱い。せっかくの源泉なのにろ過するなんてもったいない。
体が温まってきたので源泉槽に挑戦してみる。冷たくておそるおそる足を踏み入れたが、
浸かってみるとなんだか温かく感じるから不思議だ。
底にはアカサビがジャリジャリ沈殿していてわしづかみにできてしまう。
打たせ湯から落ちてくる湯をちょっとなめてみると…。うぇぇ、ものすごいさびくささ。
さすが源泉槽、いかにも効きそうだ。肩に打たせ湯を当ててみるとなかなか気持ちいい。
体が冷えてくると露天へ。さらに内湯で体を温めて源泉へ、というサイクルを4回ほど繰り返した。
さび臭い湯に浸かっていると関節がぎしぎしと腐食してきそうな感じ。不思議な感覚の湯だった。

明治温泉旅館からハードな山道を徒歩で約5分、渋川温泉の一軒宿・保科館へと向かった。
裏道に当る徒歩ルートで来たためメインエントランスがわかりにくい。
受付で「ご用の方はベルを鳴らして下さい」とのことなのでカランコロンとやると、
おばちゃんが登場。入湯料は800円、長い長い廊下を通って浴室へ。まずは露天。
湯の中を苔が舞う岩風呂で、竹筒からどぼどぼと湯が流れ込んでおり、けっこう深め。
浴槽の前にプールが設けられ、露天の湯はそのプールにかけ流されている様子。
そのプールの奥に渓流が流れている。このプールがいただけない。このプールで泳ぐ人が年間何人いるのだろう。
プールを無くして渓流沿いに露天風呂を作るべきだった。
さてここは自家源泉のナトリウム・マグネシウム・カルシウム・炭酸水素塩・硫酸塩泉(長い!)で
緑褐色をした45.8度の高温の湯。Ph6.38の弱酸性の湯で、毎分500リットルの豊富な湧出量を誇る。
硫黄の臭いもしっかりしていて良い湯で、ちょっとかけ湯してみる。とにかく熱い。
長く入っていられない。ちょっと浸かっては岩に腰掛けて日光浴という感じ。
僕の他には岩の上に寝転んでダウンしてるオヤジや、日光浴しながら読書中の兄ちゃんもいた。
しばらく浸かった後、内湯へ。内湯には湯口にコップがあり飲泉ができた。しっかりした硫黄味。
木製の浴槽の内湯も熱い。体もすぐ温まった。でもここは臭いや色からしてもかなりいい湯なのではないかと思った。
湯上がりに桃ジュース(310円)を買い、明治温泉横の滝まで戻って飲んだ。うまい。濃い。
のんびりしていたかったが、そろそろバスの時間。これを逃すともう渋の湯に行けなくなる。
14時29分、最終便バスで終点・渋の湯へと向かった。つづく。

奥蓼科編2へ

男の旅は一人旅へ