男の旅は一人旅 奥蓼科編 4

渋の湯ホテルを出てからのんびりと歩いて25分、10時25分に渋・辰野館に到着。次のバスの時間が11時27分だから、
一時間弱ここの湯を堪能できる。この渋温泉も信玄の薬湯として知られる26.4度の単純酸性冷鉱泉で、
白樺林の見える内湯「展望風呂」とガラス戸を挟んでヒノキの内湯と露天が並ぶ「森の温泉」、
打たせのある源泉槽と加熱槽のある「薬湯」の3つ湯がある。入湯料は1500円ちょい高め。
しかも11時まで森の温泉と薬湯が清掃中とのこと。とりあえず展望風呂で茶を濁す。
青と黄緑のタイルが貼られた浴槽に張られた無色透明な湯は無味でほのかに硫黄の臭いがする。
森の温泉や薬湯は成分で石鹸が効かないが、ここは使用可とのことだったので頭を洗った。
そろそろ掃除が終わった頃なので、森の温泉に移動。3つの風呂は別々の場所にあるので、
体を拭いて服を着て移動しなければならない。このサーキュレーションシステムには少々の難あり。
浴衣の宿泊客はまだましだが、立寄り入浴者にはわずらわしい。そそくさと森の温泉に移動して浴室へ。
コンクリートの壁に石が埋め込まれ、天井は木片セメント板。床・浴槽はヒノキ。
木筒からはぬるい湯がじょぼじょぼと湯が落ちている。大量の湯の花で白濁した湯は内湯、
露天ともややぬるめ。ph2.92の湯の味を確かめてみると炭酸レモン味。浴槽は深めで900程度か、
中腰でつかる。硫黄の香りが強く、気分がいい。内湯からも白樺の林が見える。のんびりしすぎてしまい、
もうバス停へ向かわなければならなくなった。薬湯には入れず、浴室だけ覗いてきたが、
ヒノキの浴室、勢良く流れる源泉の打たせなど、かなりよさげで残念無念。
湯上がりサービスのお茶と野沢菜をほんのすこしいただいてバス停へと向かった。
湯上がり後も体から硫黄の匂いがしている。かなり硫黄分の強い湯だったわけだ。
源泉に入れなかったのがなおさら悔しい。

バスに乗って茅野駅へ。のどがからからだったので、土産物屋で木いちごジュース(370円)を購入。
濃い。信州のフルーツジュースはうまい。茅野駅前のそばや「太閤」でざるそばとうなぎのセットを食べ、
再びこけももジュースを購入して、松本行普通列車へ。一つ目の駅・上諏訪で下車する。
上諏訪駅はホームに露天風呂がある珍しい駅だ。さっそく行ってみると、なんと改修中。
なにもGWにやらなくてもいいのに。ついてないがとりあえず駅を出て、徒歩10分の共同浴場・片倉館へ。
諏訪湖畔に建つ片倉館はこれが温泉施設?!と思わせる立派な西洋館。紡績業で富みをなし、
シルク王と呼ばれた片倉財閥の2代目・片倉兼太郎が、製糸工場の人と地元の人のために昭和3年(1928)に
地域開放型福利厚生施設としてつくったもので、設計者は台湾総督府の設計で知られる森山松之介。
入浴料は400円。ガイド本には350円とあったが、今回はGW料金かもしれない。
浴室に入ると彫刻やステンドグラスといったディテール目白押し。中央にはプールのような
大理石作りの千人風呂。実際に100人位同時に入れるだろう。かけ湯をして入ってみると、深い。
パンフによると浴槽深さ=1100。立って肩の下まで湯がくる。底に玉砂利が敷いてあって、
歩くと足つぼが押されて気持ちいい。この湯はアルカリ性単純温泉で泉温は62.3度。浴槽の湯も熱い。
長く入っていられない。浴槽の横でぐたーっと横になって体を冷ましている見苦しいおやじがいっぱいいる。
でもその気持ちがわかるくらい熱い。湯と空間を堪能して、ちゃっちゃとあがってきた。
2階は休憩所になっているが、老若男女がざぶとんを枕にごろごろと寝転んでいる。
「諏訪浪漫」という地ビールを500円で購入。僕が買ったノーマルな「しらかば」の他に、
黒ビールの「りんどう」もある。グラスについでごくりとやると、濃いやつがのどに突き刺さってきた。
まだ帰りの電車まで時間がある。最近間欠泉センターの横にできたという足湯の施設に行ってみた。
屋根の下に湯道をはさんでベンチがならんでおり、座って足だけつけるのだが、入浴料は無料。
足をつけてみるとかなり熱い。じーんとしてくる。完全に侮っていたようだ。
まわりの人は足を真っ赤にしてつかっている。このへんは源泉により近い為、泉温も高いのかもしれない。
次第になれてくるとこれがまた快感になる。諏訪湖を眺めながら25分ほどつかっていたらぽかぽかになった。
つかりながら伊東豊雄設計の下諏訪町立赤彦記念館も遠望できた。鈍く光っていてかっこいい。
この足湯、これからの施設にかなり使えるアイテムだと思う。健康にいいし、気持ちいいし、
女性でも服を着て座って入れるから気軽だし、老人施設とか地域活性施設なんかでは
いいコミュニケーション空間になるかもしれない。

諏訪を後にして塩尻から特急しなので名古屋へ。さすがにGW最終日で、車両は満席だった。
今回の企画はどれも極上の湯で、十分すぎるほど自分を見つめ直した2日間となった。
しかし辰野館の湯にゆっくりとつかれなかったのは心残りだし、蓼科温泉をはずしてきているのも
片手落ちといわざるを得ない。やりのこしたことの多すぎる俺はまた蓼科を訪れる気満々である。おわり。

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