男の旅は一人旅 番外・新婚旅行編 1
ヒマを見つけては一人旅をしている永遠の旅人である俺も2004年12月22日についに結婚。
新婚旅行くらいちゃんと行っといたほうがいいだろうと思って嫁さんに
「どっか行きたいとこある?」と聞いてみると、別に行きたい場所があるわけじゃないけど、
列車に乗ってどっか遠くに行ってみたい、とのこと。航空関係の仕事をしていたという
こともあり、旅行といえば常に飛行機を利用していた嫁さんにとって、豪華寝台特急の旅
みたいなやつが憧れだったらしい。列車の旅と聞いて真っ先に思いついたのは、寝台特急
「トワイライトエクスプレス」。大阪―札幌間を21時間7分で結ぶ、日本最長区間を走る
寝台特急列車である。そのきらびやかな車内は「動く豪華ホテル」と言われ、指定席券は
発売と同時に全席完売するという噂のプラチナチケットである。まずこの指定席券を手に
れなければどうにもならない。と、いうわけで、やや緊張の面持ちで指定券の予約受付が
始まる乗車1ヶ月前の9時59分、JRの予約センターに電話。受付開始の10時ちょうどに
空席照会してもらうと、なんと第一希望のA寝台ロイヤル個室が空いてた!入手超困難と
言われるトワイライトのロイヤルをいとも簡単にゲット。あまりのあっけなさに拍子抜けしたが、
おそらく正月が終わったばかりで、札幌雪祭りにはちと早いという1月中旬というのが
わりと予約が取りやすい時期なんだろう。というわけで、第一関門は見事クリア!

年が明けて1月10日の11時27分、大阪駅の10番ホームに緑色の車体が滑り込んできた。
ついにトワイライトエクスプレスの入線だ!日本海に沈む夕陽を眺めるという
コンセプトの列車だけあって、車体の緑色は深い海を、黄色のラインは黄昏を、
ヘッドマークのピンクは日本海に沈む夕日をイメージしたという。と、大阪に実家がある
嫁さんのお父さんとお母さんが見送りに駆けつけてきた。
「トワイニングエクスプレス、いつか乗ってみたいわ」というお義父さん、
それは紅茶でしょ!名前まちがってますよ!

10番ホームに入線! ヘッドマークのピンクが鮮やか

札幌まで21時間の旅 緑と黄色のコントラスト
トワイライトエクスプレスは9両編成で運転される。最後尾から1,2号車がA寝台車、
3号車が食堂車、4号車がサロンカー、5号車以降がB寝台車となり、先頭に電源車が
連結されて9両の車両を引っ張っていく。今回の個室のある2号車に入り、1番室へ。
ロイヤル個室はホントは1人用なのだが、今回は2人で利用。でも2人でも十分過ごせる
広さがある。しばらくすると車掌が検札に訪れ、個室のカードキーをくれて設備備品の
説明をしてくれる。オリエント急行を意識した木調の室内には電動ボタンひとつで
ダブルベッドに早変わりするブルーのソファー、高級感漂う照明器具。壁面には
クローゼット、電話、ビデオが組み込まれており、シャワーユニットには20分間湯が
出るシャワーに加え、壁面に収納可能な洗面台と洋式便器が備え付けられている。
部屋でビデオや音楽を聴けるのも、部屋でトイレやシャワーが使えるのもA寝台の特権。
ちなみにB寝台だとシャワーカードを購入して共用のシャワーを使うことになるし、
トイレも共同となる。

A寝台車通路 2号車1番ロイヤル個室

高級感漂う室内の照明器具

ロイヤル個室壁パネル ロイヤル個室ユニットシャワー室
東海道線のダイヤの乱れのあおりを食って定刻の12時より6分ほど遅れて大阪駅を発車。
すぐに新大阪駅に到着してすぐ出発。次の停車駅・京都までの間にA寝台のもうひとつの
特権、ウエルカムドリンクのサービスが運ばれてきた。ウイスキー、ワイン、コーヒー・
紅茶の中から好きなものを選ぶことができ、僕はワイン、嫁さんは紅茶を選択。
ワインには裂きイカ、ピーナツのおつまみつき。「北海道ワイン」というちょっと甘めの
ワイン。車窓の風景を眺めながら、ゆったりとソファに座って飲むワインはなんとも贅沢。
でも京都駅に到着すると、ホームの人たちからワイン飲んでる姿が丸見えになっちゃいます。
ま、それもいいか。

ウエルカムドリンクのワイン
列車は湖西線に入り、通路側の窓から琵琶湖が見えてきたころに食堂車の営業が開始。
昼ごはんを食べに行ってみると、食堂車「ダイナープレヤデス」はとてもゴージャスな雰囲気。
僕はスパゲティ、嫁さんはオムライスを注文。琵琶湖を眺めながらの昼食なんてなかなか
いいもんです。オムライスにはエビフライが2本ついてたので、僕は頭と尻尾をゲット。

食堂車「ダイナープレヤデス」 スパゲティ
部屋でビデオを見ながらのんびりと過ごす。映画はクリント・イーストウッド監督作品の
「ミスティックリバー」。ちなみに嫁さんは寝てます!滋賀県北部くらいから窓の外には
雪が積もりだし、敦賀駅から北陸本線に入るころにはすっかり雪国って感じ。雪の北陸を
列車は淡々と走り、福井、金沢、高岡、富山に停車していく。ここでサロンカーにいってみた。
4号車「サロンデュノール」は窓の大きな展望車。車内のソファはすべて日本海の夕陽が
見える方向にレイアウトされている。が、この日はあいにくの曇り空で夕陽を見ることは
できなかった。残念!このサロンカーでは、夜中の3時、列車が青函トンネルを通過する際に
車掌による青函トンネルガイドが行われるという。3時か、起きられるかな・・・。

展望車両「サロンデュノール」
18時02分、直江津駅着。ここから信越本線に入る。あたりはすっかり真っ暗、漆黒の
日本海を疾走するトワイライトエクスプレスが新津駅に到着する寸前、19時30分に夕食の
放送が入った。食堂車に行ってみると、車内はきらびやかな照明が映え、昼とはちがった
ゴージャスな雰囲気。

夜の「ダイナープレヤデス」は昼とは違った雰囲気
一品目の前菜は帆立貝のカクテル サフランジュレと香草のブーケ添え。
サフランジュレとはサフランで香り付けしたゼリー。目にも鮮やかな料理です。
二品目はウサギの背肉と赤座エビのルレ。エビの身をウサギの肉で巻いたもの。
ウサギの肉なんて初めて食べたけどとてもうまいです。

帆立貝の前菜 ウサギとエビの前菜
有機ニンジンのスープはカレーのような風味でとてもおいしい。魚料理の
真鱈のソテーと白子のグラタンはタラ好きの僕には答えられませんでした。

スープ 魚料理
肉料理の牛肉赤ワイン煮とステーキは、2種類の調理法×3種類のソースという
6通りの味わい方ができて楽しい。デザート盛り合わせはシャーベット、フルーツ、
ケーキがてんこ盛り。あーもう満足じゃ!

肉料理 デザート
夕食後、個室に戻るとものすごく暑い!暖房効きすぎ!車掌に暖房の故障を訴えると、
もしよければ部屋を変えましょうかという提案が。まあこんなハプニングもありかな、
ってことで1号車3番の部屋に移動。さっそくソファをベッドにして就寝したんだけど、
列車の振動というのがなかなか気になって眠れない。座ってるときはそうでもないけど、
寝転んでみるとけっこう揺れが気になるもんだなあと思いながら隣を見るとすでに嫁さんは
熟睡!そうこうしているうちに僕も眠りに就きました。
深夜3時、青函トンネルのガイドを聞こうと強引に起きる。サロンカーに向かう途中で
さっきの車掌さんに会う。あれ、大阪駅から乗務してきたJR西日本の車掌は、青森駅で
JR北海道の車掌と交代しているはずなのになんで?!「すごい大雪で列車が遅れてるんですわ、
まだ青森駅にも着いてないんですよ」と車掌さん。とりあえずサロンカーに行ってみると
間もなく青森駅に到着。たしかにすごい雪だ。屋根のかかっているホームにも雪が
降り積もっている。乗務員を交代し、電源車をディーゼル機関車に付け替えてトワイライト
エクスプレスは青森駅を定刻より50分遅れて出発。ってあれ、さっきと進行方向が逆に
なってる!実はトワイライトエクスプレスは青森と函館の間だけ進行方向を逆にして
走るのだが、そんなことはこんな夜中に起きた者にしかわからない。

ソファをベッドにした状態 夜の「サロンデュノール」

♪青森駅は雪の中〜
青森駅から青函トンネルまでは40分ほどかかるので、しばらくぼーっと窓の外を見て過ごす。
といっても外は真っ暗!たまに明るいところを通っても雪しか見えない!っていうか
窓ガラスがバシバシに凍りついとる!そのうち列車がいくつも短いトンネルを通るようになり、
いよいよかな、と思ったら、JR北海道の車掌さんが登場。いよいよガイドが始まり、実は
さっきから通過しているトンネルは、青函トンネルに入る前のアプローチトンネルという
ものだということを教えてくれた。ガイドはトンネルの概要をわかりやすく説明。
面白いのは海底トンネルなので、トンネル内は一年中20℃前後に保たれているということ。
冬の津軽海峡の下を通るトンネルなんてすごく寒そうなのに、実は暖かいんです。だから
青函トンネル突入後、凍っていた窓ガラスがあっという間に溶けだした!説明は時に
クイズ形式となり、うちの嫁さんは見事ニアピン賞で青函トンネル乗車証明書を獲得!
そうこうしているうちに列車は青函トンネルを35分ほどで通過して説明会は終了。
僕らは部屋に帰って再び眠りをむさぼることになる。
朝6時半、車内放送で目が覚めた。列車は依然50分送れで走行中とのこと。でもその
おかげで、早朝のため部屋に運んでもらって食べようと思っていた朝食を、7時の
営業開始を待って食堂車で食べることができた。僕は洋朝食、嫁さんは和朝食。
オイオイ、和朝食のほうがなんか豪華だぞ。でも洋朝食も温かくておいしかったので
まあいいか。

和朝食 洋朝食
トワイライトエクスプレス、思い出に残る楽しい体験でした。また乗ってみたいなあ、
と思いながら8時20分、定刻より50分遅れで到着した登別駅で下車。引き続き札幌へ
と向かうトワイライトエクスプレスを見送ると、その最後尾車両はこれまでの厳寒の
道程を思わせるように真っ白に凍り付いていたのでした。

凍り付いた最後尾車両
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