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安部公房作品体系図
〜『壁』以降の長編作品の全体像〜
もちろん作品が発表されるたびに新たな発想や切り口は生まれた、わけでしょうが、
しかし、初期の代表作から通して彼の思想をまとめてみますと、
以下の図が彼の長編群を総括的に捉えることができる体系なのでしょう。
勿論、ここに「第四間氷期」や「水中都市」を加えなければ落ち度があることになるのでしょうが、
それよりも、彼の演劇活動の流れこそ加えるべきなのかもしれませんね。
とりあえず、図を見てくださいませ。
初めの『壁』がよくカフカ的と言われますが、それはむしろ『デンドロカカリヤ』に譲りまして、
実は『壁』はルイス・キャロルの『不思議の国のアリス』なのです。
そして、それゆえにとも言えるのですが、「存在」に対し、プラスへ180度の「不在」、
そしてマイナスへ180度の「非存在」、という両面性をこの物語に実在させ、私たちに存在への懐疑を提供してしまっています(これ、安部システムの芽生え?)。
そして、これの変容が『砂の女』の「流動と停滞」の同居、『他人の顔』の「構築と瓦解」の同居、
『燃えつきた地図』の「認識と喪失」の同居へ、と展開されているのです。
ここまでは、おそらく「それがどうした」なんて言われそうですね。
さて、その後の『箱男』と『密会』なんですが。
「よく分からん」とも言われるこの2作品。
『箱男』は、変容した中期3長編を再度、壁の中へ押し込めた圧縮装置が『箱男』としたらどうなんでしょう。
さらに、「一番分からん」とか「不倫みたいであまり好きじゃない」と言われる『密会』は、
中期3作品をそのまま受け入れ再構成された受け皿だとしたらいかがでしょうか。
そうやって作品を思い起こしてみると、「なあるほど」と思われる方も多いのではないでしょうか。
はい、で、これ以上は、皆様のお好きなように、あとの解釈はよろしくお願いします。ここでは、読むことよりも、この「安部公房作品体系図」の図を見ていただくことに
意義があるわけでして。
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